2017/06/19

iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリデメまとめ

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 iDeCo(個人型確定拠出年金)、皆さんはもう始めていますか?
 雑誌や新聞で見かける機会も増えてきましたし、証券会社などが顧客獲得に向けてキャンペーン競争を行っていますので、興味を持っている方も多いと思います。

 iDeCoは年金の一種で、毎月一定額を拠出し、60歳以降に年金として受け取る仕組みです。国民年金や厚生年金と異なり、資金の運用は主に投資信託への投資により行いますが、運用する投資信託の選択は各個人の責任で行い、投資信託の選択次第で年金額が大きく増えたり減ったりする仕組みです。

 そんなiDeCoですが、メリットやデメリットがいまいち分かりにくいな~と思っていました。そこで、iDeCoを使わない投資信託の積立と比較する形で、iDeCoのメリデメをまとめてみました。


1.iDeCoのメリット

(1)税金計算上、掛け金が所得から控除される
 毎月支払う掛け金は、所得税や住民税を計算する際、所得から控除される仕組みがあります。
 
 例えば、月給50万円でiDeCoをやっていない投資家であれば、ざっくり所得税率20%、住民税率10%とすると、所得税と住民税の合計は月に50万円×(20%+10%)=15万円となります。このためiDeCoを使わない場合、月給が50万円であっても、手取りは50万円×(1-20%-10%)=35万円へ減ってしまい、35万円を元手に投資や消費に回すことになります。

 一方、iDeCoで月に5万円を掛け金として支払うと、所得税と住民税を計算する際に掛け金の5万円分が控除されます。このため所得税と住民税の合計は月に(50万円-5万円)×(20%+10%)=13.5万円となります。手取りは50万円-5万円(掛け金)-13.5万円=31.5万円と減ってしまいますが、iDeCoをしない場合と比べ、所得税と住民税の負担が1万5千円も軽減され、iDeCoを使う場合は、税金の軽減分を含めた36.5万円を投資や消費に回すことができます。




(2)運用益が非課税
 iDeCoを使わない投資信託の積立では分配金に約20%の税金がかかります(NISA口座の場合は非課税)。一方、iDeCoを使う場合、年金受け取り開始前の運用益(分配金、売却益ともに)には課税されません
 たかが20%と思うかもしれませんが、長期間にわたって複利運用する場合、20%の課税はかなり重いものとなります。5%の運用益が出たとして、20%の課税をされると課税後の運用益は4%まで低下してしまいます。30年運用することを想定すると、30年後の運用資産は5%複利の場合は約4.3倍(1.05の30乗)になりますが、4.5%の複利の場合は約3.2倍(1.04の30乗)に留まります。


(3)年金受取り時に非課税枠がある
 iDeCoを使わない投資信託の積立では売却益には約20%の税金がかかります(NISA口座の場合は非課税)。
 iDeCoの年金は、一時金で受け取る方法と、分割で受け取る方法があります。いずれも所得控除の対象となりうるため、退職金やiDeCo以外の公的年金(厚生年金など)が少ない場合、iDeCoを使うことで、この所得控除枠を上手に活用できます。



2.iDeCoのデメリット

 金融機関のパンフレットではメリットが強調されていますが、実際にはデメリットもあります。

(1)60歳まで引き出せない
 重い病気で休職し入院することになった、子供が公立に落ち私立に入学した、会社をリストラされた等々、人生、思わぬ形でお金が必要になることはあると思います。
 iDeCoを使わない投資信託の積立の場合、売却したいときに売却し、自由にお金を使うことができます。一方、iDeCoの場合、どんなに早くても引き出せるのは60歳になったときです。

(2)税制が変更となるリスク
 この記事の前半でメリットとして挙げたポイントは全て現在の税制に関することです。残念ながら、無能な世襲政治家による放漫財政のせいで、日本の財政はかなり厳しい状況です。少子高齢化(税金を払う働き手が減り、税金で暮らす老人が増える)が今後さらに進むと見込まれていることも併せて考えると、現在の税制が今後何十年も変わらないという想定をおいて投資するのは少し楽観的過ぎると思います。
 どのような形での税制変更があるか事前に予想することは困難ですが、年金を受け取るころには、現在よりは税制が厳しくなっていると想定しておいた方が無難だと思います。例えば、iDeCoの積立金には年率1.173%の特別法人税がかかるという法律が存在しています。凍結という形で現在は課税されていませんが、凍結を解除されると毎年資産の1.173%を削られるという厳しい状況になります。



3.まとめ
 デメリットも存在していますが、現在の税制ではiDeCoは非常にメリットの多い制度です。iDeCoについて、個人的には、分散投資の一環として他の投資方法と並行して利用していくのがいいのかと思います。

※画像は全て厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/)より。