平成16年、マクロ経済スライドという制度が導入されました。導入の際、当時の小泉政権が「これで年金は百年安心!」と大々的に宣伝していましたね。当時は制度の内容について詳しく調べもしませんでしたが、改めて調べてみるととんでもない制度ということが分かりました。
マクロ経済スライドとは、ざっくり言うと、
「公的年金が破綻しないよう、年金を減らしていく」制度。
以下は、厚生労働省(公的年金の所管官庁)のサイトに掲載されている、公的年金の財政検証結果です。経済成長率や物価の推移についていくつかケースを想定し、それぞれのケースで所得代替率(=年金÷現役世代の所得)がどういった水準で推移するかをグラフ化したものです。
(出所:http://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/verification/verification_05.html)
(1)2014年度の年金
所得代替率は62.7%となっています。あくまで平均なので、人により差がありますが、例えば、現役世代の平均年収が500万円とすると、年金受給者は平均して500万円×62.7%=313.5万円の年金を受給する事になります。
所得代替率は42%~51%となっています。こちらもあくまで平均ですが、現役世代の平均年収が500万円とすると、年金受給者は平均して500万円×42%~51%=210万円~255万円の年金を受給する事になります。
2014年度(313.5万円)と比べ、2043年度の年金(210万円~255万円)は58.5万円~113.5万円も減少しています。これ、厳しくないですか? もちろん、2043年度にも裕福な生活を送れる年金受給者はいると思いますが、今の年金受給者と比べると、旅行や趣味を楽しんで老後を過ごすことができる人の割合はかなり減少すると思います。
「公的年金は減少していく」、この前提のもと、経済的な準備(配当金収入の確保や、民間の保険への加入など)を行っていく必要があると考えています。